第04回

私のワーク・イン・ライフ

財務戦略局長 長縄健吾

「ワーク・イン・ライフ」とは、仕事(ワーク)を生活(ライフ)の一部と捉え、両者を対立するものではなく、調和させて考える概念のことです。生活を適切に調整し、お互いが良好な関係を保つ状態を指している「ワーク・ライフ・バランス」に対し、「ワーク・イン・ライフ」では、仕事を自分の人生の中に組み込み、相互作用をさせることで充実した生き方が実現すると考えます。

本連載では、「ワーク・イン・ライフ」を実現するために、豊かな人生を送る上での工夫や、若い方々にむけたメッセージなどを紹介します。第4回目は、長縄健吾 財務戦略局長よりご寄稿いただきました。

私は伊豆の生まれです。実家は小・中・高と、それぞれの学区の端にありました。進学や転校のたびに、私はいつも外からやってくる少数派であり、新しい環境に飛び込むことが当たり前でした。基本的には同い年の世界でしたが、この環境が、私にとって「外に出ること」や「異なる価値観に触れること」を自然なものにしていきました。

大学は別の地方の総合大学で、全国、さらには海外から集まる学生と共に生活し、特定の主流派が存在しない環境に身を置きました。スキーサークルや寮生活、アルバイトを通じて、専攻分野も家庭の経済環境も価値観も世代も大きく異なる仲間や先輩方と関わり語り合う中で、「自分の当たり前は必ずしも他人の当たり前ではない」という感覚が、身体に培われたと感じています。

社会人になってからも、社内異動や五つの出向先、社内ではグループ会社支援業務など、多様な文化に触れる機会に恵まれました。業種、規模、制度の異なる組織で働く人々と向き合う中で、「どうすれば一緒に前へ進めるか」を考える姿勢が、自分の強みとして育っていったように思います。

一方で、異なる主張をすることで浮いたり、疎外感を覚えたりする場面もありました。エスカレーター式の学校出身者や、同じ業務を長く続けてきた組織に対し、「小さな世界に閉じこもっているのではないか」と感じたこともあります。しかし同時に、そうした人々に対して私自身が逆方向の偏見を抱いていたことにも気づかされました。世界は広く、私の知っている範囲など、ほんの一部にすぎません。

私の経験値の振幅などは、広い世界の多様性の中では、例えば雄大なアルプスも地球上の皺程度であることと同様に、ほとんど直線です。

それでも、どれほど環境が変わっても、向き合い方の基本は変わりません。わからないことを「わからない」と受け止めること。「わからない」と保守的な態度になりがちですが、まず否定せず心を開くこと、相手の背景に思いを寄せること、そして違いを脅威ではなく新しい情報として扱うこと。信頼して相互に尊重し合うことは、どこであっても通じる普遍的な態度だと感じています。

自身の価値観に無意識のバイアスが刻まれていることを意識して慎重に受け止めるのです。

かつて地域の端から外の世界へ踏み出し続けてきた私にとって、大学という場は、まさに多様な価値観が交差し合う「Universe」です。学生にその価値を提供する私たち教職員も、大学組織もまた、自らの世界を広げ続け、多様性を取り込み、互いの違いを尊重しながら前へ進む、柔軟な組織でありたいと願っています。