第1回障がい学生座談会を実施しました(11/26)

2024年11月26日(火)、世田谷キャンパス7号館2階にて、第1回障がい学生座談会を実施しました。本座談会は、ダイバーシティ推進室が障がいのある学生からの提案を受け、実施した座談会で、当日は、障がいのある学生4名と伊東 明美ダイバーシティ推進室室長(理工学部機械工学科教授)、ダイバーシティ推進委員及び推進室スタッフが参加しました。短い時間ではありましたが、障がいのある学生それぞれが経験したこと、日常感じていることを分かち合う貴重な時間となりました。当日の内容は以下の通りです。

■それぞれの思いから東京都市大学・東京都市大学大学院へ
バリアフリーマップ作成の経験から
Kさん(都市生活専攻修士課程2年)は、高校時代に、段差やエレベーターのないお店が多く、車椅子では行きづらい場所に多いことに気づき、誰もが安心して遊びに来れるように友人や協力してくれる企業とともにバリアフリーマップを作る活動を始めました。そのことがきっかけで、ユニバーサルデザインに関心を持ち、ユニバーサルデザイン研究室に入ることを目標に東京都市大学への進学を決めました。念願かなって希望する研究室に配属され、その後、本学の大学院に進学しました。

多様なものづくりへの憧れ
Rさん(都市生活専攻博士後期課程3年)は、コンサートの照明に魅了されたことがきっかけでデザインに興味を持ち、東京都市大学への進学を決め、その後、本学の大学院に進学しました。自宅が大学に近かったことや、祖父が武蔵工業大学(現・東京都市大学)の卒業生であることも進学の動機となりました。

定年退職し、大学院へ
Hさん(都市生活専攻博士後期課程4年)は、市役所での勤務を経て定年退職後、ユニバーサルデザインを学びたいという思いから大学院への進学を決めました。

自身の経験を活かし社会へ貢献
Mさん(知能情報工学科2年)は、聴覚障がいのある自身の経験を活かし、情報工学の分野で聴覚障がい者の助けになる研究を行いたいと考え、東京都市大学に入学しました。

■東京都市大学の障がい学生へのサポートは良く、とても幸せ
Hさんは、以前別の大学への入学を希望した際、見た目だけで判断され入学を断られた経験があります。しかし、東京都市大学ではそのようなことはなく、「不便なことがあっても話を聞いてくれて、とても幸せです」と大学のサポート体制に対する感謝の意を語りました。
また、Rさんも、TAP奨学金の免除や国際センターからのサポートを受け、留学の機会を得るなど、「過ごしやすい大学生活を送ることができました」と語りました。

■世田谷キャンパスは車いすで移動しやすいキャンパス
Kさんは、東京都市大学等々力キャンパス(現在はキャンパス統合により世田谷キャンパスに移動)でエレベーターが使えないなどキャンパス内の移動がしづらいと感じていました。世田谷キャンパスに移動後は、「車いすでの移動がしやすく、問題ないです。」と語りました。
Hさんもキャンパス内の移動に不便を感じることはないとのことで、世田谷キャンパスは車いす利用者にとって概ね快適なキャンパスとのお話を伺いました。

■ソフトウェア、器具の補助を受けながら学生生活を送っている、一方で課題もあり
Rさんは、聴覚障がいを持つ中で、ノートテイカーの協力やUDトークなどを活用しながら授業を受けています。大教室ではマイクの音声を直接UDトークに接続するなど、教室環境を先生と相談しながら整えてきました。また、先生のアドバイスを受け、同級生に自分の障害とはどのようなものか、どのように対応してくれると助かるのかを漫画形式でまとめ、同級生に配布したとのお話を伺いました。
Mさんは、デジタルワイヤレス補聴援助システム「ロジャー」を使用して授業を受けています。一方で、グループワークやSD PBL(※)の際には、多くの学生が話をするので、周囲の雑音で聞き取りが難しくなるケースもあるとのことでした。
Hさんから、Mさんの発言に関連して、ガラス張りの教室などでは壁面で反射する音があり、聞き取りを難しくしているのではないかとのご意見がありました。また、完全電動の車いすを使用しており、教壇の位置や高さによってパソコンの操作や接続が困難な時もあり、設備面での改善が進むとありがたいとのことでした。

■今回の交流会を通じて
それぞれから、今回の交流会の感想を伺いました。

Rさん「今回の交流会で、後輩の困っていることを聞けて、交流できる機会に参加できてとてもよかったです。あと2年で卒業しますが、自分の経験を後輩に伝えられたらいいなと思っています。」
Mさん「こういう集まりをもっと増やしたいです。同じ障がいを持つ人同士で気軽に相談できるといいと思います。また開催してほしいです。」
Kさん「他の障がいの方の話を聞けて大変参考になりました。自身の研究にも活かせそうです。」
Hさん「別の大学で感じたような見た目で判断されて悲しい思いをしないように、引き続き対応してほしいです。」

今回いただいた内容等も踏まえつつ、東京都市大学およびダイバーシティ推進室では、引き続き、多様な学生がそれぞれの個性を最大限に発揮し、大学生活を充実させるための支援を行ってまいります。

SD PBL(Sustainable Development Project organized Problem Based Learning)
持続可能な社会の発展に資する人材育成という本学の教育目標のためのオリジナルなPBLです。「自らの価値観」を見つめ直し、「主体的に学ぶ力」や、「様々なボーダーを超えて持続可能な社会づくりに参画するための実践力」の育成に重点をおいています。