第08回
「窓」は不定期連載のコラム欄です。窓を開けて風通しを良くしたいという思いから「窓」と名付けました。ダイバーシティに対する思い、ダイバーシティに対する期待等、皆さまからのご投稿をお待ちしております。推進室ではダイバーシティ関連の書物や学外のフォーラム、他大学の取組みなど、幅広く情報収集しておりますので、これらの情報もこちらにてご紹介してまいります。
インクルーシブダンスとゆるスポーツと
10年以上も前の話だが、小学校低学年の息子を連れて、インクルーシブダンスのワークショップに参加した。そこでは、大人も子どもも障害のある人もない人も、性別、ダンス経験の有無などにもかかわらず、みんなが自分自身のからだで自由に思い思いに表現し合っていた。その名も“みんなのダンス・フィールド”。東洋英和女学院大学教授で身体表現論、舞踊学ご専門の西 洋子先生が1998年に立ち上げたインクルーシブダンスのコミュニティだ。
曲がりなりにも舞踊教育・ダンスを専門としている自分は、障害のある人やダンス未経験者をリードしなくては…と、勝手に気負って緊張していた。一方、「付いていくだけだよ。踊らないよ。」と言っていた息子は、初めて間近で見る車椅子に興味津々。車椅子の参加者に自ら近づいて行き、フットレスト部分にちゃっかり乗らせてもらい、車椅子の青年と何やら楽しそうに体育館を縦横無尽に動きまわっていた。息子に限らず、そこに参加していた子どもたちは皆、年齢や性別、障害の有無といった違いを自然体で受け入れ体感し、身をもって他者を理解しているようだった。そしてその子どもたちにリードされるように大人もいつしかその大きな流れに身をゆだね、そこには心地よい時間と空間があった。
元来、ダンスは、他者と競い合うことが目的ではなく、「みんなちがってみんないい」。だからこそ、インクルーシブなダンスはイメージしやすい。一方、速さや強さ、巧みさを競うことが多いスポーツにおいて、インクルージョンの実現には、クリアしなければならない課題がいくつもある。それをサラッとやってのけようとしている人達がいる。「スポーツ弱者を世界からなくす」を掲げ、年齢・性別・運動の得手不得手に関わらず、だれもが楽しめ、勝っても負けても楽しい、多様な楽しみ方ができるスポーツを多数提案している。世界ゆるスポーツ協会代表理事でスポーツクリエーター/福祉クリエーターの澤田智洋氏は既存のスポーツを「トップスポーツ」と定義し、それに対し「ゆるスポーツ」を「ポップスポーツ」と定義して、スポーツの日常化を図っている。また、澤田氏は「配慮」や「思いやり」より、「リスペクト」と「面白い」を大事にしたいと語り、そのHPにはなんともユニークなネーミングの種目が並んでいる。
(投稿者:人間科学部 髙橋うらら)
出典:
NPO 法人みんなのダンスフィールド:https://www.inclusive-dance.org/
澤田智洋他(2020)スポーツ弱者を世界からなくす ―「弱み× 強み」で見えてくる世界―.
女子体育. 第62 巻第12・1 月号.6-11.(公社)日本女子体育連盟
一般社団法人世界ゆるスポーツ協会:https://yurusports.com/
この発想はなかった!
「話題のロール式生理ナプキン「Egal」のCEO に取材
―生理用品の提供はトイレットペーパーと同じように考えるべき」を読んで
なるほど!と思わず膝を打ってしまいました。是非、このサイト(https://front-row.jp/_ct/17616026)に行って写真を見ていただきたいのですが、Egal社では、なんと既存のトイレットペーパーホルダーに取り付け可能なロールタイプの生理用品を製造販売しているのです。「トイレットペーパーを持ち歩く人はいないのだから、生理用品を持ち歩く必要もない」・・・確かに。しかも既に欧米の大学等では導入が進んでいるとの事。気になるのは誰が費用を負担しているかですが、個々の大学が負担している事例、自治体などが負担している事例、両方のケースがあるそうです。EgalのフィニーCEOは「これはトイレットペーパーと同じように考えるべき」と述べています。これが世界中のトイレに普及したら、女性達の負担がどれほど軽くなることでしょうか。
(投稿者:ダイバーシティ推進室・伊東)