最終回「SDGsのひとつジェンダー平等の実現とひとり一人ができること」「女性研究者支援はうまくいったのか?意識改革は進んだのか?」

2012年より男女共同参画室の初代室長を務められた、岡田往子先生が3月でご定年を迎えられました。原子力研究所での研究の日々、2009年の文部科学省科学技術振興調整費の採択、男女共同参画室の前身である女性研究者支援室の立ち上げ、そして現在のダイバーシティ推進室に至るあゆみについて、お話していただきます。

2009年から2012年3月で補助金は終了し、評価はAランクでした。継続が条件のこの事業では、多くの大学で活動を縮小・停止する中、本学では「男女共同参画室」として事業を継続することが出来ました。学長が中村英夫先生から北澤宏一先生(故人)に代わられ、何度も活動説明が求められる中で、北澤先生がおっしゃった衝撃的な言葉が「女子児童・生徒への理系教育支援や女子学生の支援は必要な仕事です。しかし、あなたの仕事ではない」。北澤先生とは、その後もディスカッションを繰り返し、2014年7月の終わりになって、やっと「女性研究者を増やす具体的な方策を作ってください」という前向きなミッションを頂きましたが、これが最後のお言葉でした。

あれから、もう7年。パンデミック、気候変動、貧困による格差、地域紛争など、現代は、地球上に暮らす誰もが、生存に関わる深刻な課題と無縁ではいられない時代です。世界における日本のジェンダーギャップ指数は120位(2021年)。教育や健康はトップクラスであるにも拘わらず、政治や経済の分野における男女比が極端に低く、女性の登用が進んでいないことを表しています。国際社会が定めたSDGs(持続可能な開発目標、17の目標と169のターゲットで構成)には重要な目標の一つとして「ジェンダー平等の実現」が掲げられています。17ある目標は相互に関係し、同時に一歩一歩進めていかなければ、危機を乗り越え、より良い社会を構築できません。今、私たちに求められているアクションはどのようなものか。教職員の方々には、本学で取り組まれているSDGs達成に向けたアクションの一つである、環境学部の佐藤 真久教授と伊坪 徳宏教授の動画(https://www.diversity.tcu.ac.jp/guidance/programs/sdgs/)をぜひご覧いただきたいと思います。SDGsの理念である誰一人取り残さない持続可能な発展は、地球に生きる全員が17の目標を意識し考えてこそ実現できる社会です。本学においても、学生と教職員の全員が17の目標を共通認識として持ち、積極的な取り組みをしていただきたいと願っています。

最後に、(一社)学協会男女共同参画連絡会の「無意識のバイアス – Unconscious Bias -」コーナー(https://djrenrakukai.org/unconsciousbias/)をご紹介します。「無意識のバイアス – Unconscious Bias -」とは、誰もが潜在的に持っているバイアス(偏見)のことで、育つ過程で知らず知らずのうちに脳にきざみこまれ、固定観念となっているもののことです。無意識のバイアスは自覚できないため自制することが難しく、特に、採用や昇進人事の判断に影響するとのことです。無意識のバイアスを最小限におさえるためには、組織的な努力が必要です。ダイバーシティを推進するために、教職員や執行部の方々の研修にぜひ活用してください。一人ひとりが「無意識のバイアス」に対する感度を高くし、違和感を放置せず、気づいたことには声を上げることを心がけてほしいと思います。

終わりにあたり、長い間このコラムを読んでいただき、ありがとうございました。感謝するとともに、大学の益々の発展をお祈りいたします。

*本コラムは今回が最終回です。
岡田先生、1年半にわたりご執筆いただきありがとうございました 
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