第01回

「ワーク・イン・ライフ」とは、仕事(ワーク)を生活(ライフ)の一部と捉え、両者を対立するものではなく、調和さ
せて考える概念のことです。生活を適切に調整し、互いが良好な関係を保つ状態を指している「ワーク・ライフ・バランス」
に対し、「ワーク・イン・ライフ」では、仕事を自分の人生の中に組み込み、相互作用をさせることで充実した生き方が
実現すると考えます。
本連載では、「ワーク・イン・ライフ」を実現するために、豊かな人生を送る上での工夫や、若い方々に向けたメッセー
ジなどを紹介します。第1回目は、都市生活学部 都市生活学科 宇都 正哲教授よりご寄稿いただきました。

ワーク・イン・ライフ:大学教員としての働き方と生活の調和

都市生活学部長 宇都正哲

大学教員という職業は、教育・研究・社会貢献という三本柱に支えられ、多忙かつ多岐にわたる業務を担っている。授業準備や論文執筆、学生指導、学会参加、さらには学内外の委員会活動など、時間に追われる日々が続く中で、私生活とのバランスをいかに保つかは重要な課題である。以下に、私自身が実践しているワーク・イン・ライフのための具体的な取り組みを紹介する。
まず、時間管理の徹底が不可欠である。週初めに一週間のタスクを洗い出し、「研究」「教育」「事務」「家庭」「休養」といったカテゴリに分類し、それぞれにバランスよく時間を割り当てる。Googleカレンダーを活用し、予定の可視化と共有を行うことで、無理なスケジュールを避けるよう努めている。
次に、勤務と家庭を分ける空間の確保も大きな鍵となる。自宅に小さな書斎スペースを設け、在宅勤務中はその空間で仕事に集中する。一方、仕事が終われば意識的に書斎を離れ、家庭人としての時間を過ごす。空間の切り替えが、心理的な区切りを生むのに効果的である。
また、家族との時間の質を高める努力も欠かせない。平日は短時間でも食事を共にし、週末には家族での外出や趣味の共有を大切にしている。子どもの成長を見守りつつ、日常的な対話を意識的に増やすことで、家庭のつながりを強めている。
さらに、自己ケアとしての運動習慣の導入も重要である。週に2回は早朝に散歩を行い、心身のリフレッシュを図っている。研究に集中するためにも、健康を保つことが基盤となる。
最後に、「完璧」を求めすぎない柔軟な姿勢も、長く働き続けるうえでのコツである。すべてを完璧にこなすことは不可能であり、時には「できないこと」を認め、優先順位を見極めることが大切だ。
以上のように、大学教員として多忙な日々を送りながらも、計画的かつ柔軟に仕事と生活を調和させることは可能である。ワーク・イン・ライフは、仕事の効率化のみならず、人生の質そのものを高める鍵であるといえる。