第4回

多様な人材が活躍するためには、組織全体で意識改革を行い、サポートとしていくことが必要となってきます。上司(イクボス)が、職場でともに働く部下に対して仕事と生活を両立しやすい職場環境づくりを行い、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむ。そうしたイクボスが増えれば、組織だけではなく、社会全体も変わっていくのではないでしょうか。そこで今回は、大上 浩 副学長より寄稿いただきました。

私の家族は夫婦と子供2人(長男、長女)です。長男は既に親元から巣立ち、長女も来春には一人暮らしを始めます。我が家では子育てはほぼ終わっていますが、振り返ってみると、あっという間でした。妻は家庭に専念していたため、私は任せっきりで、イクメンではなかったように思います。子育てを思い返してみると、もっと子供たちにしてあげることがあったのではと思っています。また、余裕を持って子供たちに接していればと反省することもあります。

ある冬の日の夕方に、まだ幼稚園に通う前の息子と公園に行きました。息子は砂場で、一生懸命小さなスコップを使ってバケツに砂を入れて遊んでいました。陽が傾き、だんだん寒くなってきました。風邪をひきはしないかと心配しながら夕食の時間が近づいてきたので、何度も息子に帰ろうと促しますが、砂遊びが楽しくて言うことを聞きません。半ば怒り気味に無理やり家に帰ることになりましたが、もう少し気持ちに余裕があれば、夢中になっている砂遊びを好きなだけさせることができたのではと、今になって思います。子育て中のある一コマですが、なぜか忘れられない、私にとっては親として反省する思い出です。 子供たちが覚えていることで、嬉しいこともあります。家の片づけをしていた時に、子供たちが小さかった頃によく見たビデオが出てきました。娘に聞いてみると、あまり覚えていないけど、お風呂でシャンプーの泡が目に入るのが嫌で、私が娘の髪を洗っていた時に歌っていたビデオの中の曲は覚えていると言ってくれました。そんなこともしていたなと思いながら、娘が覚えていることを嬉しく思いました。

私の子育ての頃と違って、今は男性も女性も社会で活躍する時代です。共働きで子育て中の方は大変だと思います。子供の病気は親の仕事の都合に合わせてくれません。具合が悪そうで、明日子供が熱を出したらと、職場を休むことを考えながら夜を過ごすことがあるかも知れません。幼稚園で怪我をすれば、待ったなしで迎えに行くことになります。本当に大変だと思います。
でも、毎日の子育てが親としての成長になることもあり、振り返ってみれば、何気ないことや大変だったことが、子供の成長に繋がっていると気づくこともあります。若いお父さんとお母さんには、気負わずに頑張ってもらいたいと思います。イクメンでなかったかも知れませんが、子育てを経験した理解あるイクボスになれたらと思っています。