夢の実現に向けて努力している最中です。

ロールモデル
環境学部 環境創生学科
咸 泳植 准教授

経歴
韓国慶熙大学自然学部環境学科卒業。
東京農工大学大学院修士・博士課程修了。
東京都市大学講師を経て現職。
/韓国ソウル出身

水は人間だけでなく生態系にも欠かせない極めて重要な物質の一つ

水質保全・環境保全のための汚染の現状とメカニズムを解明。人間の体や地表生態系は大半が水でできています。水は人間だけでなく生態系にも欠かせない極めて重要な物質の一つで、水を含む様々な物質循環のバランスと汚染メカニズムを解明することは自然を理解し守る第一歩です。水質(河川等)や大気(大気沈着物等)における汚染物質の挙動やメカニズムを解明することを目指しています。分子やマイクロプラスチックのような汚染物質は、生態系を常に循環しているが、場所と時間によって変化しているため、研究対象が無限に近いところが研究の大変さでありながら、環境保全の側面からやりがいと魅力のある分野と言えます。

少年時代よく遊んでいた河川は真っ黒で大変汚れていた

少年時代(1970年代)に、河川敷の広場で、野球試合でよく遊びましたが、その頃、河川の色が真っ黒で大変汚れていました。試合中にはしばしば野球ボールが川に落ち、野球を続けるためには誰かが野球ボールを拾いに黒くて汚い川に入る必要がありました。しかし、当時その川は、黒くて汚いため誰も入りたくなかったことを未だによく覚えています。1980年代にプロ野球が始まり、野球が流行っていて、高校まで野球を楽しんだことを記憶しています。私は、その間、水質汚染について自然に意識ができていたと思います。大学では、自然学部の環境学科に入学し、環境汚染と環境学を学んで、都市河川の復元をテーマに卒業研究をやりこなしました。

夢のために努力したこと

近年、マイクロプラスチック汚染に興味を持ち、約4年間の基礎的な調査や分析を通して、サンプリング方法や分析方法の問題点について知ることができました。マイクロプラスチックの採取法や分析法は、まだ確立されていないため、まず、文献などの国内外の資料を確認しなら自分の経験やノウハウを活かして工夫しながらやるしかないのが現状ですが、夢(マイクロプラスチックの第一人者)の実現に向けて努力している最中です。マイクロプラスチックは、今後、新たな水質汚染や水質指標になるに違いないと思います。今後、マイクロプラスチックの採取法や分析法の確立や、バックグラウンドデータを確保することは、極めて重要な課題となります。

1日の過ごし方

平日午前10時~午後7時に、事務的な業務、教育関連業務、研究関連業務を行っています。週末には、必要に応じて出校し、業務をやっています。授業の準備や採点は、デスクワークで、分析指導は実験室でやっています。学生指導や授業の準備のため、夜8時~10時まで研究室にいることがあります。特に演習科目の場合は、実験道具や試薬の購入から、セットアップまで、時間と手間がかかりますが、受講者のため頑張っています。

趣味

水質分析写真1
「趣味」は、特にありませんが、学外委員会等の活動に参加しています。エピソードは、国交省と環境省が後援している全国水質一斉調査に2004年~2022年まで19年間参加し皆勤賞をいただきました。2014年~2019年には、韓国でも水質調査に参加し、海外データが加えられたことがありました。韓国では、首都のソウルの漢江の15km区間を採水および分析をしましたが、遠くて暑くてとても大変でした。

好きなもの

水質分析写真2
「好きなもの」は、特にありませんが、身近な環境を分析することが好きです。エピソードは、海岸域でマイクロプラスチック汚染を分析したところ、最初は表層(0-5cm)だけ分析しましたが、表層より深い層からもマイクロプラスチックが検出され、一体どこまでマイクロプラスチックが分布しているのかが知りたくなりまして、0cm~1mまで採取し分析している最中です。

研究をどのように社会に役立てていきたいですか?

研究成果を査読付き論文や学会発表し、市民や行政にも伝えて身近な環境の汚染の現状と問題点についてご理解、そして、参考にしていただきたいと思います。このことから、市民の方々の身近な環境の汚染に対する知識、意識、認識に大変役に立つと思いますし、行政による環境汚染政策や対策にも大変役に立つと思っています。また、行政とやっている委員会等の活動を通して、研究成果から役に立ちそうな意見、助言、諮問、一助をしています。


若い人へのメッセージをお願いします。

学業や仕事に対して問題意識と熱情を持って取り組み、自分自身の力で作業を行い、問題解決能力を養っていくという過程を抜きにして、成長することはできません。学業を単純に卒業のための課程として捉えず、夢を持って真剣に自分の将来に繋げられる取り組みが必要な時代となっています。また、学業だけでなく周囲との意見交換や共同作業などを通じて、コミュニケーション能力や協調性も涵養していくことも大変重要と考えています。