これからも好奇心を持って新しいことをどんどん学んでいきたいと思っています。

山口 敦子 教授
経歴
佐世保北高等学校卒業、九州大学理学部数学科卒業。
九州大学大学院総合理工学研究科情報システム学専攻修士課程終了。博士(情報学、京都大学)
(株)日立製作所基礎研究所研究員、生物分子工学研究所研究員、京都大学特任助手、(株)日立製作所中央研究所主任研究員、情報・システム研究機構特任准教授を経て現職。
/長崎県出身
人工知能技術やグラフ理論に基づき、知識グラフなど、データ統合化のための情報技術の研究
ウェブなどにバラバラに置かれたデータを仮想的に一つの巨大なデータとして統合すると、バラバラのままでは見えなかった知識が見えてきます。そのために、人工知能技術やグラフ理論に基づき、知識グラフなど、データ統合化のための情報技術の研究をすすめています。また、統合化したデータは膨大になりがちであるため、統合後のデータを効率よく処理するグラフアルゴリズムの研究も不可欠です。さらに、開発した技術を活かして、生命科学分野のデータなど多様で巨大な実データに応用し、データに埋もれた知識を発見することを目指します。
大学院時の指導教官が生命科学分野のデータ解析の研究を始め、セミナーに顔を出しているうちに、だんだん生命科学に興味が湧いてきた
元々数学科出身で、大学院時代はグラフ理論やグラフアルゴリズムに興味を持っていました。その後、日立の研究所に就職しました。そのころ、大学院時の指導教官が生命科学分野のデータ解析の研究を始め、時々そのセミナーに顔を出しているうちに、だんだん私も生命科学に興味が湧いてきました。そのタイミングで偶然、日立から研究機関や大学で計算機生物学を研究する機会をいただき、より生命科学データにのめり込むことになりました。その後、国の研究機関で様々な生命科学のデータを統合し使いやすい形で提供する研究を始め、その基盤として知識グラフの利用を始めたのがきっかけです。
夢のために努力したこと
私の場合は、夢の実現に向けて努力したというよりも、好奇心の赴くままに動いているうちに転機が訪れることが多く、何かに導かれた気がしています。言い換えるなら運がよかったのだと思います。ただし、導かれた先で置いていかれないよう、学ぶことは常に怠らないでいたつもりです。機会が来るかどうかは運も大きいとは思いますが、機会を活かせるかどうかは、自分次第だと思うので、これからも好奇心を持って新しいことをどんどん学んでいきたいと思っています。

座右の銘

マイブーム

研究をどのように社会に役立てていきたいですか?
私が開発した手法を様々な人に広く使ってもらいたいと思います。プログラミングができる人にはオープンソースやウェブAPIという形で提供することで、自分のプログラムに取り入れたり改良したりして欲しいと思います。プログラミングをしない人に向けては、インターネット上のサービスやアプリケーションソフトウェアとして気軽に使える形で提供していきたいと思います。たとえば、近年、症状から病名や関係する遺伝子を予測するサービスのアルゴリズム開発を担当していますが、キーワード入力とマウス操作だけで、私が開発したアルゴリズムを意識しない形で利用し、知識グラフから欲しい情報が手に入れられるようになっています。
若い人へのメッセージをお願いします。
初めからやりたいことが見えている人もいれば、私のようにいろんなことに興味を持って好奇心のままに動いて行った結果、やりたいことがだんだん見えてくるということもあります。後者の場合、まず、目の前の興味がある問題に取り組んで欲しいです。寝ても覚めてもその問題を考え続け、その問題解決に必要な勉強をしたうえで、最終的に解決方法を見いだす、この一連の流れを学生の時に一度は経験して欲しいと思っています。その経験は、就職するにせよ、進学するにせよ、やりたいことが見えた時にきっとあなたを支えてくれるはずです。
掲載日:2024年3月29日