国内外の研究者で共同研究を行い、世界レベルの研究実績を積んでいきたいと思います。
林 和眞 准教授
経歴
日韓共同理工系学部留学プログラム予備教育修了。
岡山大学環境デザイン工学科卒業。
東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻修士・博士課程修了。
国立環境研究所社会環境システム研究センター特別研究員、忠南発展研究員(韓国) 上級研究員、韓国科学技術院(KAIST)未来戦略研究センター上級研究員、東京都市大学都市生活学部講師を経て現職。
/韓国釜山市出身
ビックデータ分析や社会ネットワーク分析など空間政策と情報科学に関する組み合わせた幅広い研究
専門は都市・地域計画、地域イノベーションです。ビックデータ分析や社会ネットワーク分析など空間政策と情報科学に関する組み合わせた幅広い研究を行っています。デジタル革命により、都市空間とデータサイエンス、そして都市政策は密接につながる時代になりました。私と私が担当している都市イノベーション研究室では、都市をマネジメントしていく中で、少子高齢化や地球環境問題といった様々な社会課題を解決に向けてICT技術を有効に活用しながら都市経営に活かすシステムを研究しています。具体的には、AIとビックデータと都市マネジメントの融合策を提案・開発・実装するサイクルを回すとともに、関連主体と連携しながら適宜修正し実践する活動を行っています。主な研究としては、情報科学と空間政策を組み合わせ、EBPM(科学的な政策決定に向けたエビデンスベースの政策形成)に寄与するための幅広い研究を行っています。
この複雑な世の中における物事の真相や本質に迫ることがすごく重要
研究を進めるにあたって、この複雑な世の中における物事の真相や本質に迫ることがすごく重要だと思うことになりました。何かについて目に見える現象のみではなく、その裏側と基盤に潜在している様々な事象・法則・環境を時には数式を用い、時にはモデル化を図り、解いていくことで、課題を正しく理解することができる、そして、その理解をさらに今後の取り組みに活かすことが非常に重要である考えたからです。さらには、分析-理解―取り組み(実験)により、社会実装につなげていくことが研究を行う上で大事にしているため、実際の社会課題をどのように解決していくのか、その政策的サポートは何か、それの評価はどのようなものかなども含めて検討し、今のテーマに至りました。
夢のために努力したこと
まず、高校時代に国費留学生として日本に留学する決心をし、試験を受けて、来日したことです。高校時代、理工学系の技術は、日本やアメリカの方が進んでいることを知って、国内で勉強するよりは、海外でさらなる技術を勉強したいと強く思いました。その中で、日韓理工系学部国費留学生プログラムの存在を知り、試験準備をして、合格したことです。次は、東京大学大学院への進学の際に、土木・環境工学から都市地域計画へ専門を変えて受験したことです。門を変えて大学院受験することはハードルが高く、さらに日本の大学出身であるため、日本人学生と同じ試験を受けなければならない(留学生特別選考は利用できない)ことが大変でした。しかし、この入試準備の時に勉強したものが今でも基礎的な学力と専門知識としていかされていると考えています。
1日の過ごし方
朝はなるべく早く起きて(夜明け前に起きるのが好きです)、本を読んだり、研究を進めたり、自分の時間を楽しみます。6時半ごろからは親モードで朝ご飯の準備や学校の支度などをお手伝いし、私も出勤準備を進めます。通勤時間が片道1時間半はかかるので、1限目の講義があるときは早めに移動します。大学の研究室では、何か机に向かって作業する時間はほとんどなく、ミーティング、講義、ゼミ、会議などの続きです。それが終わり次第、家に帰って、親モードの復活です。なるべく夕飯は家族一緒に食べることを意識しており、子どもといる時間には一切仕事はしないように心がけています。子どもが寝てから少し残業をしてから寝る一日の連続ですね。
趣味
ヨガは大好きで、疲れたと思ったらヨガをするように努めました。街歩きもリフレッシュの良い方法です。30歳になるまでにはロックバンドをやっており、ボーカルとキーボードを楽しみましたが、現在はなかなか時間がなくできておりません。子どもと一緒にボードゲームをやることが増えており、これらもすごく楽しい日常です。
大切にしている言葉
「思い通りに人生を送らないと、人生が流れるように思うようになる」→日本語での訳が下手ですが、こちらは、自分の理想やポリシーをちゃんと定めて、日々の生活を送らないと、日々の生活に塗れて道に迷うことになり、本来の自分の思いを分からなくなることを韓国語で聞いたことがあります。できるだけ、自分の軸は何かと日々確認しながら生活しています。
「手足は忙しく、頭は落ち着くように」→とにかく忙しい時は、心と頭を落ち着かせ、ゆっくり考えるようにしています。一方でかなり手足は忙しくして、行動に移すように心がけています。
研究をどのように社会に役立てていきたいですか?
現在は、都市・地域計画に関する幅広い研究を行っていますが、当事者としての研究スタイルと研究者としての知識欲にこたえる研究スタイルを両方もっている状況です。学生とはやはり実際の地域でのPBLを重視し、様々な活動を一緒に行っています。一方で、国内外の研究者で共同研究を行い、世界レベルの研究実績を積んでいきたいと思います。主にはアジアにおける国際的な都市・地域計画の知見についての構造的な整理をしたいと思うことや、今後の都市がどのように変化していくのか、その変化を定量的に追うこと、さらにはそれらの科学的なエビデンスが政策の現場で活かされるようにわかりやすいツール開発なども試してみたいと思っています。
若い人へのメッセージをお願いします。
これからの社会は、Diversityでつなぐ、Innovation & Inclusionを目指していくと思います。多様な立場、背景、価値観をお互い尊重し、新たなイノベーションを多様な主体と一緒に作り上げていく、その恩恵をお互い分かち合い、弱い立場の人を包摂する社会を作っていってほしいです。それは決して難しいことではなく、身の回りの小さい不便と理不尽なことを改善するように意見を出し合って前に進んでいくことです。